【翻刻】
大正大学図書館蔵『狭衣物語』巻一
14丁裏〜15丁表、17丁裏〜18丁表
(感想)
「え」や(盈)「も」(裳)などの文字は大きく書かれることが多いらしく、所々で二字分で読んでしまいました。形を覚えて、注意して読みたいと思います。
14丁裏からの場面は行きずりの女性や宣耀殿の妃らとのやり取りが描かれる場面でしたが、源氏の宮への気持ちから深く関わろうとしないと思いきや、狭衣自身から歌を詠みかけたりしていて裏腹な行動をしていると感じました。
場面がとんで、17丁表での暑がる狭衣を甘やかす母宮の描写に続いて裏では出仕する狭衣の素晴らしい様子に涙する屋敷の人々が描かれていました。また、春宮も「空ひかりなき心ち」がして狭衣を呼び寄せるなど、狭衣の褒められ方の過剰さが面白くもありました。
『源氏物語』では光源氏だけではなく、頭中将といったその周りの人々もキャラクターが立ち上がってくるのですが、今のところ『狭衣物語』ではそれがなく、当時の物語の書き振りの傾向も気になりました。
分責:髙野
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