【源氏物語を読む】
『新潮古典集成源氏物語』夕顔巻
p.164,l.12「道いと」~p.165,l.14「嘆きあへり。」
夜が明け、光源氏は心ここにあらずといった様子で二条の院への帰路をたどっています。「道いと露けきに、いとどしき朝霧に」の文に、夕顔の死に嘆く光源氏の心中が感じ取れました。昨夜夕顔と着せあった光源氏の紅の衣が、夕顔の遺体にもかかっていることを思い出して自分と夕顔は前世でどのような契りをしていたのだろうかと道すがら思いを巡らせています。
馬にもしっかり乗れないほどでしたので、堤のあたりで滑り降りてしまいます。連れ立っている惟光に「こんなところでさまよってしまうのだろうか。とても二条の院に帰り着けそうにない」と弱音を吐いています。前の段落で右近には励ましの言葉をやって頼もしい様子だった所と比較すると、光源氏の公の振る舞いとプライベートな振る舞いの両面が読み取れました。惟光はそんな光源氏の様子を見て洛外の葬送場にお連れしたことを反省します。
二条の院に帰った光源氏たちを迎える女房は、体調が悪いのにうろうろと出歩く光源氏を見苦しいと呆れたところで今回のシーンは終了です。夕顔の件が宮中に広まると立場が危うくなってしまうため、自邸の女房にも本当のいきさつを話すことができないのです。
この日は場面の感想を話し合ったほか、注釈書がどのようにできるのかという事や研究しても何らかの理由で本として世に出ない場合もあるという事を古田先生からお話ししていただきました。私が大学で学習していく中で日々使っている注釈書が、多くの人の協力や積み重ねがあって出版されたことを実感しました。
文責:斉藤
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