【源氏物語を読む】
『新潮日本古典集成源氏物語』02帚木巻
p.106,l.4「君は、心づきなしと思しながら、」〜p.109,l.2「すこし品おくれたり。」
光源氏が小君の手引きによって再び空蝉の元へ向かう場面が展開されます。このまま関係が終わってしまうことを「人わろく」思うなど、光源氏が意地になっている様子が見てとれて、空蝉巻での光源氏はまだまだ内面に若さを感じました。一方で、小君はそんな光源氏の言動を「わづらはしく」思いながらも、頼りにされることを嬉しく思っており、小君から光源氏への思いも読み取る事ができる部分でした。
屋敷に入った光源氏は空蝉と、紀伊の守の妹である軒端の荻が碁を打つ場面を垣間見ます。装束の色や容貌が細かに描写され、普段は見ることのできない女性の外見についての様子がよくわかる場面でした。また、二人の女性は着ているものから、体型、言動までとても対照的に描かれていて、それぞれのキャラ付けがしっかりとしているように感じました。
今回の場面は、当時の娯楽についてもわかる場面でした。空蝉と軒端の萩は碁を打っていましたが、「闕さす」「劫」など囲碁の用語が特に説明もなく登場しており、それだけ囲碁が当時の人に広く知られていたものであったことがわかります。平安時代と現代とでは大きく異なるものもありますが、このように何か繋がるものを発見することができるのも当時の物語を読む面白さだと感じました。
文責:髙野
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