【源氏物語を読む】
『新潮日本古典集成源氏物語』02帚木巻
p.89,L.1「「やや」とのたまふに、」〜p.91,L.9「多かるべし。」
光源氏が空蝉に迫る場面が続きます。空蝉の侍女である中将が駆けつけたところで、光源氏ほどの身分がある人物を止めることはできず、また、光源氏もそのことを分かって振る舞っている様子が見て取れて取れました。その上、「暁に御迎へにものせよ」と女君の迎えを中将に頼むなど、身分の高い人物の生まれながらの傲慢さの片鱗が読み取れる部分でした。
空蝉は最後まで抵抗を続けていますが、その際「すくよかに心づきなしとは見えたてまつるとも」と情趣を解さない女とみられても良いからつれない態度を押し通そうと考えていました。後の巻で登場する朧月夜はそのようにみられることを恐れて光源氏を受け入れており、この二人は光源氏に対して対照的な態度をとっている人物と言えそうです。また、光源氏にとっては、ここまで激しく拒否されることは初めての経験であり、そういった意味でも空蝉という人物は特別に写ったのだと思われます。
また、光源氏や空蝉に対して当時の人がどのような印象を抱いていたのかという話題になった際に、『無妙草子』が参考として挙げられました。『源氏物語』に限らず、当時のさまざまな物語について筆者が感想や評価を述べており、当時の人の価値観を示す重要な資料の一つであると感じました。現代には残っていない物語についての記述も多く、どのような話であったのか気になるものも多かったため、『源氏物語』に加え、他の作品についても色々と読んでいけたらと思います。
文責:髙野
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