【源氏物語を読む】
集成P.45,L1「光源氏、名のみことことしう、」~P.46,L1「うちまじりける。」(帚木巻冒頭)
(感想)
今年度の初回から帚木巻に入りました。
『源氏物語』のうちでは珍しい、1文目の最初から「光源氏・・・」と書いてあることで、読み始めてすぐにこの作品が『源氏物語』だと分かる巻です。また、この巻はスピンオフ的・短編的な特徴から、物語が完結してから付け加えられたのではないかと言われています。
光源氏は裏で気苦労の多い恋をしがちなだけで、実際は人々が言うほどの色好みではなく、本人は真面目であったということが書かれていました。自分と同じように、実際に読んでみるまでは勝手に色好みな人物だと思っていた人が昔も多かったのかなと思います。巻の導入部分で、光源氏の人物像と世間で広がっているイメージのギャップを明確にした上で、「この巻ではそんな彼が裏で何をしていたかを語るよ」と書くことで、読み手の好奇心が刺激されるなと感じました。語り手がこのように前に出てくることで、「物語(おしゃべり)」感が高くなっていると思います。また、冒頭から引歌や現存しない物語が出てきて、当時の流行や常識的な知識に触れることもできました。この巻は光源氏のイメージの形成に大きな影響を与えているとのことなので、この先を読むのが楽しみです。
(おまけ)
今回は諸事情あって先生からの解説や小噺が多かったため、少しだけ書きます。
・大島本源氏物語について
現在多く流通している源氏物語の底本にあたる、大島本源氏物語は佐渡島の旧家にあったものです。
・「年立」について
物語の登場人物の年齢ごとに話の筋を整理したものです。全集には、いつ・何歳で・何が起きたかをまとめた表があります。江戸時代から行われてきたかと思われます。
帚木巻では、「まだ中将などにものたまひし時は、」より、光源氏が近衛の中将だったことから後の巻の情報を参考にすると、恐らく17歳くらいだと考えられています。
文:門井
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