【翻刻】
大正大学蔵源氏物語 桐壺巻
五丁裏〜六丁表
(感想)
「て」が「た」に見えたり「を」が「と」に見えるなど、よく似ていて紛らわしい文字も多くありましたが、一文字ずつ確認していくと段々と見慣れてくる文字も出てきました。この調子で翻刻の精度を上げていきたいと思います。
【源氏物語を読む】
集成p.17,L.8「御子は、」〜p.19,L.10「きこしめす。」
(感想)
桐壺の更衣が亡くなった後の周りの反応が描かれた場面でした。3歳という幼さのために母親が死んだという事柄を理解していない若宮と、周りの大人の様子との対比が印象的でした。また、それほどの幼さで母親を失ってしまったということが一層悲しさを引き立てている表現であると感じました。
亡くなった更衣のために帝が三位の位を与えることで、また他の妃が憎しみを募らせていましたが、中には更衣の容姿や気立の良さに思いを馳せて偲ぶ人々もいたという描写は印象に残りました。渦中のものがなくなったことによって初めて、そのものへ思いを馳せるという心理は私たちにも共感できる部分であると感じました。感想の中には更衣が亡くなったことによって過去の事柄を美化しようとしているという指摘もありましたが、そういったことも踏まえて心の動きが巧みに表現されている作品であるのだなあと感じます。
文:髙野
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