2022年の活動

9月15日

【源氏物語を読む】

『新潮古典集成源氏物語』空蝉巻

p.112,l.8「君は入りたまひて、」〜p.115,l.14「いよいよおぼし懲りぬべし。」


 光源氏が部屋に入り、女性が寝ているところを発見する場面から始まります。女性が空蝉ではなく軒端荻であると気づくも、そのまま契りを結んでしまいます。本文では人違いをしたという態度を見せることも「をこがましく」、また空蝉を探しに行けば「をこにこそ」と思われてしまうと光源氏が考えていることが描写されています。自身の失敗を明らかにしたくない気持ちから、軒端荻と契ってしまおうという考えは、光源氏のプライドの高さであったり、若さを感じる部分でした。しかし、このような考えは共感できる部分もありました。

 軒端の荻は突然の展開に驚きつつもまんざらでもない様子ですが、光源氏の月並みな口説き文句の真意にも気づくことができない若さがあり、一方の光源氏は空蝉から気持ちが移らず、脱ぎ捨てた小袿を持って帰るという両者の温度差から、軒端荻が気の毒でもありました。

 母家から小君を伴って帰ろうとする際、年老いた女房に見咎められてしまいます。物語の中における「老人」(おいびと)は、おせっかいで余計なことをするというキャラ付けがあるそうで、ここでの女房も小君にあれこれと話しかけます。その後、小君と共にいる光源氏の影を見て、背の高い女房と決めつけて話を一方的に話した後に、腹痛からその場を去ってしまいます。どうして小君と女房(光源氏)が共にいるのかということなどには気が回らず、そのことによって光源氏も助かるのですが、緊迫感と共に滑稽味も感じました。

 空蝉巻もあと少しで読み終わります。短い巻ではありましたが、光源氏の若さゆえの失敗を色々と見ることができ面白く読みました。この後の展開にも期待して読み進めたいと思います。


 twitter でもお知らせしましたが、今回の活動は対面でおこないました。普段のzoomでも感想や意見は多く出ますが、対面の方が誰かの感想に対する返答や質問などが出やすいように感じました。毎回は難しくとも、予定が合う場合には対面での活動を取り入れていけたらと思います。


文責:髙野