2022年の活動

6月4日

『新潮日本古典集成源氏物語』02帚木巻

p78の9行目「すべて男も」~p83の5行目「おぼしいづ」

 

(感想)

 今回読んだ初めの部分では、馬の頭によって、理想とする女性像のまとめが行われていました。女性に求めることとしては、わきまえていることも知らない顔をし、言いたいこともそのうちの1つ2つは言わないような控えめな女性が良いとのまとめでした。馬の頭のまとめを聞き、源氏は、やはり藤壺の宮がこのような理想にぴったりの方だと感じていて、源氏の藤壺の宮に対する思いの強さが感じられる場面となっていました。このまとめで議論は一段落し、場面が切り替わりました。源氏が左大臣邸の葵の上のもとを訪れる場面となります。源氏は葵の上は馬の頭たちが評価していた、頼りになる妻として申し分ないとは思いつつも、すきがなく打ち解けにくい点が物足りないと感じています。ここでは、前の場面で馬の頭たちが発言していた「ただひとへにものまめやかに、静かなる心のおもむきならなむよるべをぞ、つひの頼み所には思ひおくべかりける」が回想されていると注釈が示します。また、方違えの関係で紀伊守の邸を訪ねた際も、邸の様子を見て、中の品の例に挙げていたのは、きっとこういった程度の家の女性なのだろうと前の話を回想する場面が再度見られました。ここでは、「中の品のけしうはあらぬ、選り出でつべきころほひなり」の場面を指していると注釈が示しています。これらの場面のから、前の話を引っ張ってくる伏線回収のようなものを感じました。理想の女性についての話は一段落しましたが、源氏の心情が描写されている場面では、理想の女性議論をもとにまだまだ考えを巡らせています。議論が終わっても、理想の女性像について考えていく様子はこれからも続いていくのではないかと思いました。そういった箇所にも注目しながら、次回の話も読んでいきたいです。

 

文責 浅井