【源氏物語を読む】
『新潮日本古典集成源氏物語』02帚木巻
p.56,L.8「今はただ品にもよらじ、」〜p.59,L.14「ゐたまへり。」
(感想)
前回に引き続き、女性についての議論が続きます。今回の場面は、特に理想の妻についての話題でした。馬頭の意見としては、性格がひねくれていない、落ち着いた人を妻にするのが良く、夫の浮気によって家出を企てるようなことは軽々しいことであるというものでした。しかし、ただ我慢をすれば良いというわけではなく、引き止めるようなそぶりも見せて欲しいという、なんとも身勝手なものでした。決死の覚悟で出家をしても、それすら批判されてしまうというのは、女性としては逃げ場がない辛い状況であったのだと思います。馬頭の考えが全てではありませんが、当時の男女の恋愛は、不平等なことが多かったのだと思いました。
本文中に、馬頭が得意げに話している様子を「ひひらく」と表現している箇所がありました。この言葉には「馬がいななく」という意味があり、なおかつ『源氏物語』中ではこの一例のみの表現です。「馬」頭を意識して筆者があえて用いたのであろうと推測できます。このように意図的に用いられた表現の意味について考えることも面白いと思いました。『源氏物語』には、他にも用例が一例のみの表現があるようなので、読んでいくうちに見つけてみたいと思います。
文責:髙野
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