【源氏物語を読む】
『新潮古典集成源氏物語』夕顔巻
p.136,l.8「女、さしてその人」〜p.140,l5「おぼしけり。」
今回の読んだ箇所では源氏が夕顔の元に身分や正体を明かさず通う様子が描かれていました。
源氏は女の元に通うことを周囲に知られないように工夫を凝らします。例えば、粗末な身なりにしたり、中宿(移動の際途中で休む場)をしなかったり、尾行をまいたりなどです。このような手間をかけてでも、源氏は女の元に熱心に通います。なぜ、ここまでこの女に惹かれているのか源氏も考えます。
源氏はここまで女に溺れることはなかったのに、と女と「宿縁」のようなものを感じます。宿縁とは、男女の関係を前世からの運命的なものと結びつけた考えであり、仏教的思想のようです。現代の少女漫画でも、この人との出会いは運命かも!みたいなところから物語が始まったりするよなと思いました。運命の出会いという言葉は今の時代でも使われる言葉なので、昔の恋愛でも運命のようなものと結びつける思想があったのだなと感じました。ここで「宿縁」という語を用いることから、叶わない恋への執着心のようなものとも捉えられるなと考えました。
源氏は女に正体を明かさず熱心に通いますが、女側は素性の分からない源氏に対して疑念を抱き始めます。女は源氏に対してその疑念をぶつけます。すると、源氏は「2人のうちどちらが狐なんだろうね。黙って私に化かされておいでなさいよ」と発言します。この発言は私たちの中でかなり盛り上がった発言になります。正体を尋ねる女に対して、狐というたとえを用いて上手く女を言いくるめ?ています。源氏の口の上手さと女慣れしている様子が感じられる場面で面白いと話が盛り上がりました。また、狐は上代から化けるという思想があったみたいです。今も狐は化けるものという価値観がありますが、『源氏物語』でも狐は化けるものとして描かれていて興味深かったです。
今回の活動で2022年の活動が最後でした。来年度も『源氏物語』を読み進めて理解を深めていきたいです!
文責:浅井
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